このBlogはSWELLで作成しています DLはこちら!

【根拠を知ろう】人工呼吸の加温加湿

こんばんは!今日も元気に看護していますか!?ぺい看護師です。

みなさん人工呼吸器やNPPVを使用している患者さんを担当したことはありますか?
それらの患者さんには加温加湿器人工鼻というものが使用されていたと思います。

何故使用しているかをみなさんはご存知でしょうか?
今回はその根拠から解説していきたいと思います!

今回のブログを読むと、何故加温加湿をするのか?どれくらいの加湿の程度が良いのか、などを知ることができます。

気になるところに飛べる目次

加温加湿ってなんで必要性?

まずは私たちが普段の生活で吸っている空気について考えていきましょう!

通常の呼吸で吸う空気

私たちが天気予報で見たり、家にある湿度計などで測定している湿度。これが私たちが吸っている空気の中にどれくらいの水分が含まれているかを示しています。これを相対湿度といいます。

吸った空気は、上気道の気道粘膜で加湿され、最終的に気管分岐部で37℃、湿度100%となります。

挿管されている状態で吸う空気

その一方で、挿管チューブや気管切開カニューレなどから送られてくる空気はどうでしょうか?

これらの空気は施設の配管を通って人工呼吸器などの機械に供給され、その空気がそのまま患者さんへの送り込まれていきます。

この空気は医療用ガスと呼ばれ、清浄化されています。清浄化とは除塵、除湿、除菌などです。その際に、空気中の水分はほぼ除去されているので、乾燥しています

乾燥した空気は挿管チューブなどを伝って直接気管分岐部まで送り届けられます。そう、上気道などを介さずに。

すると、普段の呼吸であれば上気道で加温加湿されているはずの空気ですが、人工呼吸器を用いることで、普段よりも乾いた空気が、上気道で加湿されることなく直接肺へ送り届けられるということになりますよね。

そうすると様々な弊害が生じます。

乾燥した空気が直接肺へ送り届けられると?

  1. 気道粘膜の繊毛運動の低下
  2. 気管、気管支上皮細胞の損傷
  3. 痰の稠度の増加

などが生じます。これらが原因となって、痰が出せなくなり無気肺の形成や肺炎などの呼吸器合併症を生じさせたり、気管チューブの閉塞などのトラブルが生じやすくなってしまいます。

このような問題を起こさないようにするために、医療用ガスは配管から送られてきた後、加湿させた状態で患者さんへ送り届けられる必要があります。

加温加湿の方法

吸い込む空気を加湿する方法はいくつかありますが、代表的な二つの方法を説明します。

加温加湿器を用いた加湿

まず一つ目が加温加湿器という機械を用いて加温加湿する方法です。加温加湿器を用いた加湿方法はいくつか種類があるのですが、ここでは代表的な加湿方法を紹介します。

人工呼吸器の下にくっついているコレのことです!

これは、この機械の中に滅菌蒸留水を入れて、ヒーターで温めます。そして、温められた蒸留水は蒸発します。これによって加湿された空気が吸気側のホースを伝って患者さんの肺へと送られていきます。

最近の加温加湿器は口元で最適な温度となるようにヒーターの温度を自動で調整してくれるものがほとんどだと思います。また、NPPVマスクなど患者さんの不快感がとても強い場合などは加温の度合いを手動で調節することもできます。その場合、加温加湿が不足し、加温加湿の意味がなくなってしまってはいけませんので、痰の性状や加温加湿器が示す温度などに注意するようにしましょう。

人工鼻を用いた加湿

もう一つの代表的な加温加湿の方法として人工鼻というものがあります。これは人工呼吸器管理中であればYピースと挿管チューブの間に装着したり、人工呼吸器離脱時などは人工鼻に酸素チューブを接続し直接気管切開カニューレにつないだりすることもできます。

人工鼻は患者さん自身が吐く息に含まれる熱や水分を蓄え、その次に吸うときに蓄えた熱や水分を吸い込むことで加温加湿する方法です。

この人工鼻の中身は繊維や紙、スポンジなどの材質でできています。よって、肺痰が多かったり喀血などが見られている場合は、それらの物質が人工鼻を閉鎖させてしまう可能性があるため使用には不向きです。

また加温加湿器との併用は禁止されています。加温加湿器によって加湿された空気によって人工鼻を閉塞させてしまう恐れがあるためです。

加温加湿器よりも小型で管理も簡便であるためリハビリなどを行う際によく使用される印象があります。

最適な加温加湿

ここまでで加温加湿の必要性は理解できたと思います。

次に、加温加湿の評価を行い、適切に加温加湿できているかを知る必要があります。

いくつかの基準値が示されており、それらのほとんどが吸気中の湿度や温度を示していますが、その一方で患者さんが吸っている空気の温度や湿度を測定する方法が困難であるのが現状です。

加湿の客観的評価指標

ここに先ほど述べたいくつかの指標を上げておきます。

  • アメリカ基準規格(ANSI)…絶対湿度30㎎/L
  • 国際標準化機構(ISO)…絶対湿度33㎎/L以上
  • 米国呼吸療法学会(AARC)…絶対湿度33~44㎎/L、Yピース部の吸入器温度34~41℃、相対湿度100%
ひとくちメモ

絶対湿度とは?
1Lの空気中に含まれる水分の質量のことを指します。
一般的に天気予報や湿度計で測定している湿度は相対湿度であり、絶対湿度とは異なります

しかし、これらを測定することは困難であるため、臨床的評価指標を以下に挙げます

臨床的な適切な加湿評価指標

  1. 痰が柔らかい
  2. 挿管チューブの内側に結露や水滴がついている
  3. 吸気回路末端付近の内側に結露がある
  4. 吸気回路末端付近の温度モニターが37℃前後と適温である
  5. 吸引カテーテルがスムーズに進んでいく

以上の評価指標があげられます。人工鼻を使用している際は、痰の性状や挿管チューブ内側の結露、吸引カテーテルの進み具合などを指標としましょう。

加湿時の注意点

まずは適切な加温加湿ができているかを確認しましょう。そもそも適切に使用できていれば意味がありません。

  • 滅菌蒸留水が適切に供給されているか?→蒸留水ボトルが空になっていないか、チューブが抜けていないか
  • 加温機能が正常に作動しているか?→加温のコードが抜けていないか、加温加湿器に蒸留水が適切な量たまっているか
  • 正常に温度測定できているか?→吸気チューブが温まっているか、測定されている温度は適切な温度か(吸気回路末端付近で35~39℃)

一方で加湿による弊害も少なからずあります

  • 吸気回路内に水が溜まっていないか?→空気を加温加湿しているため、部屋の中の空気と温度差が生じて結露ができますが、熱線が入っていないものなどは水分がチューブ内にたまってしまいます。その結果適切に空気を患者さんへ送り込むことができなくなってしまいます

めちゃめちゃ簡単!!人工呼吸器の波形を理解しよう

この回で回路内に水滴があることで生じる人工呼吸器の波形の変化も紹介しています。ぜひ見てみてください。

  • 人工鼻が詰まっていないか?→痰などによって人工鼻が目詰まりしてしまうことがあります。特に人工呼吸器に接続せずに使用している場合などはすぐにアラームがなるのではなく、呼吸困難となってSpO2の低下などがあって初めてアラームが鳴ります。よって、アラームに頼るのではなく、きちんと自分の目でフィジカルアセスメントを継続しつつ、本人への呼吸困難の有無などを確認するようにしましょう!
ひとくちメモ

ちなみに、代表的な加温加湿器に”Fisher&Paykel”社のMR850という加湿器があります。

この加湿器は加湿モードを挿管モードとマスク換気モードの二つから選ぶことができます。基本的には挿管モードで使用しますが、NPPVマスク使用中に同様の温度の空気を送ると不快感が強いためマスク換気モードを使用します。マスク換気モードは挿管モードよりも回路末端での温度が低く設定されるためです。

一方よく間違われるのがHFNC使用時の設定です。使用方法が簡便でNPPVと似ていることからマスクモードを使用している後輩を何度か見ることがありましたが、HFNCでは挿管モードを使用します。覚えておきましょう。

日常の点検で加温加湿器をチェックする癖をつけよう!

患者さんのフィジカルアセスメントと同時に機器の確認もできるようになることで患者さんの状態変化時に機器の異常がないかどうかを確認できるようになります。とくに加温加湿器は人工呼吸器とセットで使用しますが、電源が独立していたり、何本ものチューブやコードを使用しているため電源のつけ忘れや接続ミスが起きやすい医療機器でもあります。

これらのトラブルを未然に防ぎつつ、何かあった場合にすぐに目を向けることができるよう、日常点検や定期点検の時にすみずみまで目を配るようにしておくといいですね。

 

今日はここまでとなります。お疲れさまでした!

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアして下さい!
気になるところに飛べる目次
閉じる