このBlogはSWELLで作成しています DLはこちら!

めちゃめちゃ簡単!人工呼吸器の看護②設定値について

医師から「ピープ下げて」や先輩から「エンドタイダルだしといて」など言われたことありますか?また、よくわからない人工呼吸器を目にして、いろんな文字や数字が書いてあり、「??」となったことありませんか?

前回の記事では呼吸とは?人工呼吸器とは?そして人工呼吸器のモードについて解説していきました。今回はさらに設定や測定値を細かく見ていこうと思います。用語の説明から、その値を変更することで何が起きるのか、まで理解できると思います。


看護ランキング

気になるところに飛べる目次

FiO2(吸入中酸素濃度)

吸っている空気中の酸素の濃度を決めています。私たちが吸っている大気中の空気は約21%の酸素濃度となっています。人工呼吸器はFiO2=21~100%までを設定します。

酸素濃度を上げるということは、体内に入ってくる酸素が多くなるということです。低い酸素濃度では細胞が酸欠状態になっている人に対しては酸素濃度を上げることで、組織への酸素供給をサポートします。

一方で、高濃度の酸素は肺に悪影響を及ぼします。いわゆる、「酸素中毒」というものになります。酸素中毒とは、高濃度の酸素投与によって引き起こされる肺障害のことです。簡単に説明します。

酸素の中には「活性酸素」という酸化力の高いタイプの酸素がいます。酸素濃度を上げるということは、この活性酸素も増えるということになりますよね。活性酸素というのは、細胞をぼろぼろにさせる作用があり、これにより肺の細胞(気道粘膜や肺胞の細胞)が障害されてしまうのです。

また、100%の酸素濃度では、大気中に含まれている窒素などのそのほかの物質が含まれなくなります。肺胞と血管の間で酸素と二酸化炭素が交換されますが、それにより肺胞内の酸素が血管内へ取り込まれるタイミングで、酸素以外の物質がない100%酸素を取り込んでしまうことで、肺胞内の空気が減ってしまい、虚脱し、無気肺を形成するリスクも高まります。これを吸収性無気肺と言います。

このような理由から、急性期の病態を離脱することができた患者さんは、可能であれば必要に応じて医師の指示のもとFiO2を下げていくことが望ましいです。

*ちなみに、大気中のFIO2は約21%と言いましたが、人工呼吸器の設定は25%程度を下限にしたほうがいいとされています。それは、人工呼吸器から送り出される酸素濃度は21%ですが、人工呼吸器の回路内などに体内に入らない分の空気がありますよね?これを死腔というのですが、この死腔により体内に届く酸素濃度が低下するため、21%の設定にしてしまうと、それよりも低い酸素濃度が体内に届くようになってしまうためです。

一回換気量:Tv【Tidal Volume】

患者さんが一回に吸う空気の量のことを指します。呼吸器の設定では、VCV(流量規定)のときに設定をしますし、人工呼吸器作動中は一回の換気ごとに呼吸器が測定しています。

どれくらいの換気量が望ましいのかを説明します。

標準体重×6~8mlと言われています。

標準体重とは何か?

男性:50+0.91×(身長㎝-152.4)

女性:45.5+0.91×(身長㎝-152.4)

で求められる体重です。激ムズですよね笑

一昔前は、実際の患者さんの体重に6~8mlをかける手法がとられており、よっぽど肥満の方や、よっぽど痩せている患者さんでなければ、とりあえず、体重×6~8ml程度の換気量が必要であるということを覚えておくといいかもしれません!

この換気量が少ない場合は、患者さん要因として痰がたまっていないかな?とか、鎮静が深すぎて呼吸が弱くなっていないかな?とかを考えたり、そもそも先ほど示した計算式に当てはめて、人工呼吸器の設定的に換気する量が少ないんじゃないかな?などと予測できるといいですね。

吸気圧

これはPCV(圧規定)のモードで設定する値で、空気を送り込む際に回路内がどれくらいの圧になるように空気を送り込むかを設定するものです。測定値としては平均気道内圧や最高気道内圧として表示されます。PCVでは一定の圧力になるまで空気を送る設定のため、逆に言えば一定の圧力になったらそれ以上は空気を送りこみません。よって、痰などで内圧が上がりやすい状況にある場合、設定を変えていなくても一回換気量が減ってしまいます。そこで、肺音を聴取し、痰があると予測された場合は吸引をしてみてください。一回換気量が元の値に戻っているかもしれません。

PEEP(呼気終末期陽圧)

これは肺胞が虚脱しないように、息を吐き切った後にも一定の圧を肺にかけておくことで肺胞が少し膨らんだ状態でキープするようにする仕組みです。

息を吐き切った後は肺の中は空っぽになり、圧力がなくなります。それにより、肺がぺしゃんこにつぶれてしまいます。呼吸の度に肺が膨らんだり、ぺしゃんこにつぶれたりするのを繰り返すと、肺はダメージを受けてどんどんぼろぼろになってしまいます。そうならないようにするためにPEEPを使用します。

PS(プレッシャーサポート)

これはSIMVやSPONTモードなどにおいて、患者さんが自発的に呼吸をしたときに、どれくらいに圧力をかけるかを設定する値です。患者さんの自発呼吸に合わせて圧力をサポートします。前述の吸気圧と異なる点は、吸気圧は設定の圧まで空気を送り込みます。空気を送り込む時間は後述の吸気時間によって定められます。一方このプレッシャーサポートでは、患者さんの吸気を察知したら、すぐさま設定された圧まで空気を送りますが、吸い終わりは患者さんが任意に決めることができるため呼吸が楽になります。よって、同調性が高いんですね。

PSを上げることで一回に送り込まれる空気の量が増えるため一回換気量は増えます。その一方で呼吸筋の仕事量などは減ることで換気回数が減り、理論上1分間の換気量である分時換気量(Mv)は一定となります。

よくPCVとPSの違いが分からないという質問を後輩から受けるので、特別講義です。笑

PSの特徴

  • 患者さんが吸気の時間を任意に決められるため同調性がいい、楽である

PCVの特徴

  • 患者さんの呼吸が速くても、決められた吸気時間は吸気を継続する

⇒この特徴により、PSと同じ圧を設定していたとしても、呼吸が速いときなどは設定された吸気時間は空気を送り込んでくれるため、平均気道内圧はPCVのほうが高くなります。そして、肺胞と血液の間でガス交換を行っている時間が長くなるため酸素化が改善しやすいというメリットがあります。

⇒一方で決められた吸気時間は空気を送り続けるため、患者さんが吸うのをやめたくてもやめられないため、同調性が悪くファイティングなどを起こす可能性があります。その場合は、適切な鎮静や鎮痛などを行う必要がありますね。

Ti(吸気時間)

患者さんに空気を送り込む時間を設定します。患者さんの息の吸い始めから吐き出す直前までを何秒間にするか、というものですね。

この値は、逸分間の換気回数を何回にするか、一回の換気の中に占める吸気と呼気の割合をどうするかなどによって数値が変わってきます。およそ1秒前後と覚えておいてもいいかもしれません。

換気回数

一番体に負担の少ない呼吸数は12~15回/分と言われています。

人間は苦しかったり、体の活動が上がったりすると呼吸の数が増えます。一方で眠っていたり、鎮静剤を投与されていたりすると呼吸の数は減っていきます。

人工呼吸器では、1分間に最低何回呼吸してくださいねそれよりも少なかったら人工呼吸器が空気を送り出しますよ、と決定するための設定であり、実際に何回呼吸しているのか調べる測定値でもあります。

換気数が増えることで血中の二酸化炭素濃度は減り、逆に換気数が減ると二酸化炭素濃度は増えます。二酸化炭素というのは肺胞と血管の間の行き来が非常にしやすいため、換気量に応じて二酸化炭素の量が増減するわけですね。

EtCO2【End Tidal CO2】:呼気終末期二酸化炭素分圧

吐き出された呼気の中に含まれる二酸化炭素を測定することで得られる値です。一般的に人工呼吸器と挿管チューブの間に赤外線センサーを取り付けることで測定しています。

この値は、動脈血中の二酸化炭素の分圧とほぼ同じ値(動脈血中よりも3~5mmHg低い)を示すため、容易に体内の二酸化炭素を測定することができるわけですね。

体内の二酸化炭素の状態を継続的に見ることで、換気数が妥当なのかを検討する要因の一つにすることができます。また、気管挿管時にEtCO2をつけておけば、すぐに気管内に挿管されているかどうかなどもわかります。もし食道挿管になっていた場合は、胃や食道からは二酸化炭素は出てきませんからね。もちろん、肺音や胸郭の運動を先に見ることは前提ですが。

二酸化炭素の上昇や下降により、血管の拡張収縮に影響を及ぼしたり、全身の酸塩基平衡に影響を及ぼしたりします(呼吸性アシドーシスなどですね)。これらを経時的に評価する必要がある場合は、必ず測定し、追跡することでアセスメントに生かしていきましょう。

まとめ

さて今回は、人工呼吸器に関連した主要な用語をピックアップする形で設定の内容や測定値の内容を勉強しました。

なかなか難しいですよね。難しいのに先輩看護師や医師たちはばんばんこれらの言葉を用います。たしかに、「呼気終末期二酸化炭素分圧どう?」というより「エンドタイダルどう?」と言うほうがスムーズですよね。

いろいろ覚えなくてはいけなくて大変ですが、1つずつでもいいので覚えていっていきましょう!

お疲れさまでした!


看護ランキング

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアして下さい!
気になるところに飛べる目次
閉じる